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業務の生産性を3倍アップさせる方法

生産性

「森」と「木」

御社に業務フローを明示したマニュアル等はあるでしょうか?業務フローは会社全体の仕事の流れを示したものです。

広報部、企画部がプロモーションをして、営業部が営業を行って契約を取得、それを業務部や工務部が納品し、納品終了後に事務が請求書を出す。ざっくりいうとこのような形の業務フローがわかりやすく図式化されていて、その手順の詳細について記載されているものが業務フローです。

この全体像は新人が入社してきた時に、仕事の流れをすぐに把握できるために必要なものです。そして、さらに部門毎に業務フローを細かく落とし込む。そうすると新人でも所属部門の仕事の流れがわかりやすくなります。

業務フローは「森」と「木」両方を見れるようなものがあると良いです。自部門だけの業務フロー理解だけでも会社によっては事足りるかもしれませんが、売上成長を目指す過程の中では、その状態だけでは危ういかもしれません。

私の顧客では、いわゆる業務部と言われる納品するために必要な事務、手続きを行う部門がある会社があります。

従来、その業務部は営業部と工務部の橋渡しをする部門ですが、新人には、業務部の仕事の流れだけしか教えませんでした。簡単な業務であればそれでも十分だったのですが、月日が経つと、「この仕事はなんのためにやっているんだろう。」「この作業は必要なのかな?無駄に思えるけど。」のような思いをもち始めます。

そして、営業と工務の仕事の流れを把握していないため、自部門都合で業務を処理してしまい、営業部と工務部の間でトラブルが頻繁に起こるようになりました。

「森」を教えなかったために、このように非生産的な結果になってしまうのです。

また、「木」だけ、つまり自部門の仕事だけを捉えるようになると、仕事内容に「工夫」「気遣い」をしなくなります。会社は各部門が連携して業務を円滑に回さなければいけません。

個人的な生産性や会社全体の生産性を上げるためには、工夫や各部署への気遣いをしなければ上げることはできません。「森」つまり会社全体の業務フローをしっかりと理解していれば、各部署の連携を考えた工夫や、問題の解決策を考えられるようになるので、まずは会社としての業務フローと、各部署の業務フローそれぞれを作成し、理解することが生産性アップのスタートです。

全体の業務フローを理解するためには、具体的に自部門の役割を果たすために必要な業務の洗い出しと、その業務を滞生産性高く遂行するための業務改善が必要です。

まず自部門の業務全てを洗い出すことで、整理をしていきます。

ECRSの原則

業務整理にあたって生産性をアップさせるための1つの手法として、ECRSの原則で業務改善をしていきます。

ECRS(イクルス)の原則とは業務プロセスを4つの視点から改善していくフレームワークです。
元々、大手製造業の生産性向上を行うために開発されたフレームワークで、デスクワークや営業、小売業、サービス業等、あらゆる業種、業務で再現性高く広く使われている手法です。

ECRSそれぞれの頭文字をとって以下のような手法で業務改善を行っていくものです。

1.Eliminate(エリミネイト)

意味:排除(その業務自体を無くせないか?)

業務の目的や最終目標を見直し、不要な業務・無くせる業務かを選定する手法です。業務の最終的な目的を再定義した上で、必要のない工程を排除することで生産性を上げます。

2.Combine(コンバイン)

意味:結合(複数の業務を一緒にできないか?)

複数の業務を同時に処理できないかを考える手法です。同時に行える作業、まとめて行うことができる作業を統合することで効率化を計り、生産性を上げていきます。

3.Rearrange(リアレンジ)

 

意味:交換(業務の順序を変更できないか?)

業務プロセスの処理順序を変更し、効率の改善が可能かを考える手法です。工程を変更することで、大幅に時間を削減できるケースがあり、生産性を上げることができます。

4.Simplify(シンプリファイ)

意味:簡素化(業務を単純化できないか?)

業務の一部を省略しても、同等の成果がつくれないかを考える手法です。時間の短縮はもちろん、精神的な負担や肉体的な負担も削減可能で、生産性を上げることができます。

生産性アップのために必要なマニュアル化

ECRSで業務改善を行った後は、業務をマニュアル化していきます。

マニュアル化をするにあたっては、その業務の遂行手順をマニュアル化していくのは当然ですが、その遂行の流れに中で、

・気を付けなければいけないポイント
・ここが肝!というポイント
・間違いやすい部分

などを併せて記載していくことが必要です。

パソコン画面業務の場合であれば、その画面のキャプチャ画像を付け加えたり、資料であればPDFにして貼り付ける。また実際の写真などを添付するのも効果的でしょう。こういったマニュアルを作り込むことで、新入社員でもスムーズに業務に取り掛かれたりミスなく業務を進められるので、成長の速度を速めると共に、仕事に対するモチベーションもアップします。

私がお付き合いする前の顧客の中に、「新入社員が入社するけどすぐ辞める。」という悩みをお持ちの経営者が多くいらっしゃいます。そういった会社はもれなく社内にマニュアルがありませんでした。

マニュアルがなく、口頭で指示をし、実際にやらせてみて失敗したら冷たくしたり怒ったり。こういったことが頻繁に起きていたのです。入社した社員側も、「あまり教えてくれない」→「ミスしたら怒られる」→「ミスをするから成長してる感も、やる気もなくなる」というスパイラルに陥って、会社を辞めていくのです。

まずは業務をミスなく進められ、「自分の成長が実感できる!」という入口さえ作れれば、成長速度とモチベーションは上がっていきます。

それが全体的な生産性アップの入口とも言えるのです。

生産性アップに必要な「分業化」

業務を可能な限りマニュアル化した後、生産性アップにつながる「分業化」を行う必要があります。分業化を行う手前で実行するべきことは「業務のレベル分け」です。一つの業務に対して、レベル1、レベル2、レベル3・・・とレベルを設定していきます。

例えば営業職における大枠の仕事のレベル分けで言うと、訪問→見積り取得→提案作成→積算→提案訪問(契約)→契約後対応という形です。

まず新人は訪問→見積り取得までを完璧にこなせるようにする。ある程度クリアてきたら提案作成までこなせるようにする。など、自分の役割ステップを明確にイメージさせ、この役割を徹底的にこなしてくれることによって、営業部長や課長などのクローザー(契約をとる能力の高い人)が新人が取得してきた引き合いに対して、提案訪問だけに集中でき、結果的に生産性が上がることに繋がります。

野球でも(野球に詳しくない方はすいません。)投手は先発が6回まで投げて、7回、8回と中継ぎが一人ずつ投げ、9回に抑えが投げる、という分業体制が当たり前になりました。

また、今の分業化は「横」の分業化ですが、「縦」のレベル分けによる分業化も必要な場合もあります。

例えばロボットなどの制作業務などで、一つのロボットを作り上げるまで、難易度の低い頭部をレベル1にし、腕、足をレベル2指をレベル3にして、胴体をレベル4にし、社員それぞれの技術レベルによって頭部だけを徹底的に作る社員か胴体を扱う社員か、分業化することで生産性がアップします。

当たり前と言えば当たり前の考え方ですが、この当たり前の分業化による生産性アップができていない会社が実に多いです。

業務のマニュアル化、レベル分け、分業化することで得られるのは生産性アップだけではありません。生産性がアップすれば「必要以上に人材採用をせずに済む」「残業代も減少し」「成長を感じられない、教えてもらえない、という不満による離職も低減する」など、メリットが非常に多いのです。

また、早く仕事が終わるということ自体が人によってはモチベーションアップに繋がります。

生産性がアップし業務時間にも余裕が生まれることで、会社としての新しい取り組みも可能となるため、このような形で分業化を推進していくことは重要なのです。

教育体制と人事評価制度への接続

このような形で業務をマニュアル化し、分業することで生産性アップを狙いますが、更に拍車をかけるために、教育体制と人事評価制度へ接続する必要があります。

例えば採用活動時、求職者からこんな事を言われたことはありませんか?

「御社の教育体制はどのようになっているのでしょうか?」

特に新卒採用において、学生からはこの質問が結構多いかもしれません。そこでしどろもどろな回答をしてしまったら、学生はかなりの不審感を抱きます。

入社後でも同様です。しっかりと教育体制、スケジュールを社員に開示することで、安心感に繋がり、成長速度、生産性アップに繋がります。業務をマニュアル化してレベル分けをし、社員のレベルに合わせた業務を教え、遂行してもらうというスムーズな流れができます。

また、人事評価制度への接続も同様です。

教育スケジュールと目標設定を連動させることで、何をすれば評価してもらえるかが可視化できます。何をすれば評価されるかが分かっていれば、社員としても分かりやすいですし、またマニュアル化され、教えられることで成果を創出する可能性が高くなるため、評価が上がり、更に次へと向かってモチベーションが上がります。

そしてそれは当然生産性アップに繋がります。

こういった形でプロジェクトを単一に捉えるのではなく、全ての繋がりをもって連動させることで、成果が足し算ではなく掛け算になります。

PDCA

生産性を上げる上で何よりも基本となるのがPDCAを回すことです。このPDCAは色々な所でもお伝えしていますが、非常に重要です。

生産性が上がったかどうかの指標は当然数値化しなければいけません。「生産性が上がった」と言える数値を目標数値に置くことは大前提です。これがPLAN(P)となります。

そして、その目標数値に向かって実行するDO(D)、実行の合間合間でその進捗をチェック(C)し、進捗状況によっては、何かしらの修正(A)を必要とします。

このような基本的なPDCAサイクルを日々継続し続けることで、生産性が徐々にアップしていきます。

生産性が上がらない企業、組織というのは「D」しかやっていない場合が多いです。Pそして、CやAをしていないので、生産性が上がったかどうかも分からない。上がっていたとしても、それを再現できるような仕組みになっていない。会社としての資産性が薄い、という状況になってしまうのです。

 

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著者情報
佐々木 啓治 / WITH株式会社 代表取締役

日本で唯一の「年商30億円の壁」超えに特化したコンサルタント。

これまでサポートしてきた企業の徹底的な分析を行い、年商10億円で数年間停滞している企業が年商30億円を超えるためのノウハウを独自開発。

顧客企業の経営者からは「斜陽業界である当社のような会社でも、本当に年商30億円を超えることができた」「これまで5年間、年商10億円で停滞していたが、お陰様で昨年目標であった年商30億円に到達した」と高い評価を得る。

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